大規模修繕工事の進め方と成功のポイント|トラブルを防ぐ実践ノウハウ

大規模修繕工事の進め方と成功のポイント|トラブルを防ぐ実践ノウハウは?

マンションやビルは、年月の経過とともに外壁のひび割れや防水の劣化、設備の老朽化が進みます。

これらを放置すると、見た目の問題だけでなく雨漏りや構造の損傷、資産価値の低下につながるため、定期的な修繕が欠かせません。

その中でも大規模修繕工事は、建物全体を対象にした最も重要なメンテナンスのひとつではないでしょうか。

この記事を読むとわかること
  • 大規模修繕工事とは?目的と実施タイミングの基本と長期修繕計画との関係性について。
  • 大規模修繕工事の正しい進め方、7ステップはどのような流れで行えば良いのかについて。
  • 大規模修繕工事で起こりやすいトラブルを防ぐための成功ポイント5選について。
  • 大規模修繕工事は計画的な進め方がトラブルを防ぐ最大のコツであることについて。
  • 大規模修繕工事の進め方や成功のポイント、トラブルに関するよくある質問まとめ。

多くの建物では築12〜15年を目安に実施され、外壁塗装、防水工事、鉄部塗装、共用部の補修などを行っています。

定期的な大規模修繕工事をすることで建物の寿命を延ばしつつ、居住者が安心して暮らせる環境維持の維持や資産価値にも直結するということ。

大規模修繕工事は期間も費用も大きく、管理組合やオーナーの判断が成果を左右しますので、どのように進めればトラブルなく成功できるのかを理解しておくことが本当に重要なポイントです。

この記事では、大規模修繕工事の基礎から正しい進め方、成功のポイントまでをわかりやすく解説しますので、計画策定の段階から参考にしてください。

目次

大規模修繕工事とは?目的と実施タイミングの基本ルールは?

マンションやビルなどの建物は、時間の経過とともに外壁や屋上の防水性能、鉄部などが劣化していきます。

これらの劣化は見た目の問題だけでなく、雨漏りや構造の損傷につながるため、一定の周期でまとめて修繕を行う必要があることはご存知ですよね。

その中心となるのが、大規模修繕工事です。

この工事は建物の寿命を延ばして、快適で安全な住環境を維持するために欠かせない重要なメンテナンスだと理解しておいてください。

大規模修繕工事の基本的な目的や実施のタイミング、どのような内容を含むのかをわかりやすく解説していきます。

大規模修繕工事の実施周期と代表的な工事内容は?

大規模修繕工事とは、建物全体の劣化をまとめて補修して長期的な安全性と快適性を維持するための工事です。

一般的には築12〜15年ごとを目安に行われ、その後もおおよそ同じ周期で2回目・3回目の修繕が続きます。

これは建物の寿命を延ばすための節目の工事であり、部分的な修理とは異なることを理解しておいてください。

主な工事内容を紹介すると、

  • 外壁のひび割れ補修や塗り替え
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 鉄部や手すりの錆止め・再塗装
  • 共用廊下や階段の床仕上げ更新
  • 給排水管・照明・インターホンなど設備の更新
  • タイルの浮きや剥離の補修

これらの工事を同時に行うことで、足場費用を1回で済ませることができ、総コストを抑えることができるでしょう。

また居住者にとっても工の回数を減らすことは、生活への影響を最小限できるメリットがあります。

その一方で、工事の実施時期を誤ると費用が膨らんだり、建物の劣化が進行して補修範囲が広がってしまうリスクもあるので、定期的な劣化診断と計画的な実施タイミングの把握が重要だということ。

特に海沿いや寒冷地などでは、環境条件によって劣化の進行スピードが異なるため、地域特性も考慮して周期を見直すようにしてください。

大規模修繕工事は建物の再生を目的とした長期維持のための大事な節目であり、タイミングと内容を正しく把握することから始める必要があります。

長期修繕計画との関係性と資金準備の重要性は?

大規模修繕工事は、単独で実施するものではなく、長期修繕計画に基づいて進めるのが理想的です。

長期修繕計画とは、今後30〜40年先を見据えて、いつ・どの部分を・どのくらいの費用で修繕していくかをまとめた計画書のこと。

この計画を基に修繕積立金を積み立て、必要な時期に確実に工事を実施できるようにしてください。

資金準備を怠ると、いざ工事というタイミングで積立金が不足して、次のような問題が発生しかねません。

  • 負担金の一時徴収による住民トラブル
  • 工事内容の削減や延期による劣化の悪化
  • 無理な借入による管理組合の財務悪化

これらを防ぐためには、早い段階から長期修繕計画を作成して、5年ごとに見直すことがポイントです。

建物の使用状況や物価変動を反映して、現実的な費用を見積もる必要があります。

長期修繕計画と大規模修繕工事は、次のような関係性にあります。

  • 長期修繕計画:修繕の全体スケジュールと資金計画
  • 大規模修繕工事:その計画に基づき実際に実施する工事

計画がしっかりしていれば、工事の品質とコストをバランスよく管理できます。

長期的な視点で資金を準備して、実際の工事時期に焦らず対応できる体制を整えることが、トラブルを防ぐ最大のポイントだと理解しておいてください。

大規模修繕工事の正しい進め方【7つのステップ】

大規模修繕工事は、準備から完了までに多くの工程を経る長期プロジェクトです。

期間は半年から1年以上に及ぶこともあり、関係者間の連携や資金管理、情報共有が非常に重要になります。

成功させるためには行き当たりばったりではなく、正しい手順を理解して計画的に進めることが欠かせません。

7ステップ
  1. 劣化診断と工事対象の確認
  2. 修繕計画と積立金の再検討
  3. 修繕委員会の設立と専門家選定
  4. 見積もり依頼・比較・業者選定
  5. 契約・住民説明会・工事準備
  6. 工事実施と進捗管理
  7. 竣工検査とアフター管理

初めて大規模修繕工事を行う管理組合やオーナーでも迷わず進められるように、劣化診断から工事完了後のフォローまで、上記7つのステップに分けてわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

劣化診断と工事対象の確認とは?

最初のステップは、現在の建物状態を正確に把握することです。

外壁のひび割れや防水層の劣化、金属部分の錆などを調査して、どの部分を修繕すべきかを明確にしましょう。

この段階では劣化診断を専門業者に依頼して、写真や報告書を元して劣化の程度を数値化や可視化することが大切です。

チェックすべき主な項目を紹介すると、

  • 外壁やタイルのひび割れ・浮き・剥離
  • 屋上やバルコニーの防水層の劣化
  • 鉄部(手すり・階段など)の錆や腐食
  • 排水・給水設備の老朽化
  • 共用照明や電気設備の不具合

これらの調査結果を元にして、工事の対象範囲や優先順位を決定します。

ただ修繕範囲を広げすぎると費用が膨らみ、逆に限定しすぎると再劣化のリスクが高まるため、必要十分な範囲をしっかり見極めることが大切です。

劣化診断の結果を踏まえて、次のステップである修繕計画と資金見直しに進んでください。

修繕計画と積立金の再検討とは?

劣化診断で修繕が必要な箇所を特定したら、次はいつ・どの範囲で・いくらかけて工事を行うかについて計画していきます。

ここでは長期修繕計画と照らし合わせながら、今後の支出と積立金残高のバランスを確認することが重要です。

主な検討ポイントを紹介すると、

  • 修繕対象の範囲と優先順位
  • 見込まれる工事費用と積立金残高の差額
  • 費用不足時の対応(積立金の値上げ・一時徴収・借入など)
  • 次回修繕までの周期と計画の更新タイミング

資金計画が不十分なまま工事を始めると後から費用不足が発生して、住民トラブルの原因になります。

そのためにも現実的な費用見積もりと早めの積立金見直しを行ってください。

修繕計画の段階で専門家(建築士・コンサルタント)に相談して、無理のない範囲で予算を設定しておくようにしましょう。

修繕委員会の設立と専門家選定とは?

大規模修繕工事は管理組合だけで判断するには範囲が広すぎます。

そのため、計画段階から修繕委員会を設立して、住民代表による意思決定体制を整えておきましょう。

委員会は理事会と協力しながら、専門家(コンサルタントや建築士)を選定して工事全体を管理します。

修繕委員会設立時のポイントを紹介すると、

  • 参加人数:理事数名+有志住民で構成する
  • 役割分担:会計・技術・広報などを明確化にする
  • 専門家選定:中立的な立場の第三者コンサルを起用する

早い段階で専門家を入れることで、工事内容の妥当性や見積もりの適正を客観的に判断することができます。

住民との信頼関係を築くためにも、情報共有をしっかり行うことや計画策定に関する情報の透明性を確保することも大切なこと。

修繕委員会が整えば、次のステップである見積もり依頼と業者選定をスムーズに進めることができるでしょう。

見積もり依頼・比較・業者選定のポイントは?

実際に大規模修繕工事を行う施工業者を選ぶプロセスになります。

まずは工事仕様書を元に複数の業者へ見積もりを依頼して、金額・内容・実績を比較してください。

この段階での注意点は、安さだけで業者を選ばないことです。

比較する際に確認すべき主な項目を紹介すると、

  • 見積もり金額と内訳の妥当性
  • 施工実績(同規模・同用途の建物での経験)
  • 工期と作業体制(下請けの有無など)
  • 保証内容とアフターサービス体制
  • 担当者の対応・説明の分かりやすさ

修繕委員会・専門家・理事会の3者で評価基準を作って、客観的に判断することが理想です。

また入札方式(競争入札・指名入札など)を選ぶ際も、透明性を重視することで後々のトラブルを防ぐことができます。

契約・住民説明会・工事準備は?

業者を決定したら、正式に契約を締結します。

契約書では、金額・工期・支払条件・保証内容を明確にして、双方が合意したうえで署名捺印を行うようにしてください。

この時に専門家による契約内容の確認を行っておくと安心です。

着工前には住民説明会を開催して、工事の目的・期間・騒音や通行制限などの影響について丁寧に説明してください。

説明のポイントを紹介すると、

  • 工事期間と作業時間帯
  • 立入禁止エリア・安全対策
  • 騒音・振動・臭気への配慮
  • 連絡体制と問い合わせ窓口

住民への事前説明が不十分だとクレームやトラブルが発生しやすくなります。

工事を円滑に進めるためにも、住民側の信頼と理解を得ることが大切だということを忘れないようにしましょう。

工事実施と進捗管理とは?

実際の工事が始まったら、修繕委員会や管理会社が中心となって進捗状況を定期的に確認してください。

施工業者に任せきりにせず、第三者の視点から品質と安全をチェックすることが重要です。

進捗管理で確認すべきポイントを紹介すると、

  • 工事工程の進捗(予定通り進んでいるか)
  • 施工品質(手抜きや材料変更がないか)
  • 安全対策(転落・落下事故防止など)
  • 現場対応(居住者からの苦情処理)
  • 定例会議の開催と報告書の共有

現場とのコミュニケーションを密にして、問題があれば早期に修正を行ってください。

工事中の写真や記録を残しておくことで、後のトラブル防止や保証対応にも役立ちますので、そのあたりの情報管理も忘れないようにしましょう。

竣工検査とアフター管理とは?

無事に大規模修繕工事が完了したら、竣工検査を実施します。

修繕委員会・専門家・管理会社・施工業者が立ち会って、工事内容が契約通りに仕上がっているかを確認しましょう。

不具合や仕上がりの不備が見つかった場合は、引き渡し前に是正を求めることが大切です。

竣工後の重要ポイントを紹介すると、

  • 検査報告書の確認と保存
  • 保証書・引渡書類の受領
  • 不具合箇所の是正完了チェック
  • アフターサービスのスケジュール確認

工事完了後も一定期間(通常1〜2年)は、アフター点検が行われますので、しっかり実施してください。

定期点検を行うことで、再発や新たな劣化を早期に発見できるため、計画的な維持管理に直結します。

最後に、工事の記録や経緯を次回修繕に引き継ぐためにも、データや資料を整理しておいてください。

大規模修繕工事でトラブルを防ぐための成功ポイント5選

大規模修繕工事は、計画通りに進めるだけでは成功しません。

工事の途中で発生する意見の食い違いや情報不足による誤解、業者との認識のズレなどが原因となって思わぬトラブルが発生することがあります。

余計なトラブルをを未然に防ぐためにも、計画段階から透明性・中立性・主体性・継続性・信頼性を意識した管理体制が必要です。

管理組合やオーナーが実践しやすい形で、大規模修繕工事を円滑に進めるための5つの成功ポイントを紹介しますので、しっかり確認しておいてください。

透明性のある情報共有を行うこと

大規模修繕工事では、理事会や修繕委員会だけで判断を進めると、住民の不信感や誤解を招くことがあります。

トラブルの多くは情報が共有されていないことをきっかけに起こるため、透明性の高い情報共有が欠かせません。

効果的な情報共有方法を紹介すると、

  • 会議内容や決定事項を議事録として掲示する
  • 修繕委員会の活動報告を定期的に配布する
  • 工事の進捗を写真付きで共有する
  • 質問や意見を受け付ける窓口を設ける
  • トラブル発生時は速やかに対応状況を公表する

情報をオープンにすることで、住民全体が工事の目的と進行状況を理解しやすくなります。

また住民からの協力も得やすくなり、不要なクレームを減らす効果も期待できるでしょう。

誰もが同じ情報を共有できる環境づくりが、信頼と協力体制を築く上でも重要なポイントになるので、情報開示はしっかり行ってください。

第三者コンサルを活用して中立性を確保すること

大規模修繕工事の進行において、施工業者と管理組合の間に利害関係が生じることがあります。

その際に重要になるのが、第三者コンサルタントを活用すること。

中立的な立場からアドバイスを行う専門家を入れることで、工事内容・費用・業者選定の妥当性を客観的に判断することができます。

第三者コンサルの主な役割を紹介すると、

  • 劣化診断結果の確認と改善提案
  • 工事仕様書・見積書の内容精査
  • 入札・業者選定時の公平性確保
  • 契約内容・工事監理のチェック
  • 住民説明会での技術的サポート

特定の業者に偏らないアドバイスが得られるため、判断の透明性が高まります。

また専門的な知識が不足している管理組合でも安心して意思決定ができる点も大きなメリットではないでしょうか。

第三者コンサルを活用することは、公平で信頼性の高い工事を行うための保険のような役割を果たしますので、多少コストが発生しても行うようにしてください。

長期修繕計画を定期的に見直すこと

大規模修繕工事を成功させるには、日常的なメンテナンスだけでなく、将来を見据えた長期修繕計画の見直しを行うことも欠かせません。

一度作成した計画を放置すると、実際の劣化状況や物価変動とずれが生じて、資金不足や工事遅延を引き起こす原因になります。

定期見直しのポイントを紹介すると、

  • 5年ごとに専門家と一緒に計画を更新する
  • 最新の建材・施工方法を反映させる
  • 積立金残高と将来支出を再計算する
  • 築年数や環境条件による劣化傾向を見直す
  • 直近の工事結果を反映させる

計画を更新することで、次回以降の修繕もスムーズに実施でき、無理のない資金計画を立てることができるようになるでしょう。

長期修繕計画は単なる書類ではなく、建物の健康管理表のような役割を持っているので、常に最新の状態にしておくことが重要です。

業者任せにせずに管理組合が主導すること

大規模修繕工事では、施工業者にすべてを任せるのではなく、管理組合が主体となって進める姿勢が欠かせません。

業者任せにすると、工事内容や費用の妥当性が判断できずにトラブル発生時の対応も後手に回ることがあります。

主導するための基本行動を紹介すると、

  • 修繕委員会を中心に意思決定を行う
  • 定例会で進捗や課題を報告・確認する
  • 業者任せにせず契約内容を理解する
  • 見積もりや設計書を複数人でチェックする
  • 工事中も現場見学や報告会に参加する

主体的に関与することで責任の所在が明確になり、問題が起きても迅速に対応することができます。

管理組合がリーダーシップを発揮することで、住民全体の信頼感も高まるでしょう。

大規模修繕工事において主導権を持つことが成功とトラブル回避のためのポイントだということを忘れないでください。

コミュニケーションの強化と合意形成を重視すること

大規模修繕工事で最も多いトラブルのひとつが、住民間の意見の対立です。

工事内容・費用負担・施工期間などに対して考え方が分かれるため、合意を形成するためにも、丁寧なコミュニケーションを取り続けるようにしてください。

良好な合意形成のために意識したいポイントを紹介すると、

  • 計画初期から住民説明会を定期的に開催する
  • 意見を聞く場(アンケート・質疑会)を設ける
  • 理事会・委員会での決定理由を明確に伝える
  • 不満や疑問は早期に共有し解消する
  • 高齢者や不在オーナーにも配慮した情報提供を行う

住民一人ひとりが自分ごととして関われる環境を作ることが、工事の円滑化にもつながります。

合意形成を軽視すると、最終段階で反対意見が出て進行が止まることもあるということ。

住民全体の理解と納得を得ながら進める姿勢が最終的な成功を決定づける要素ですので、納得してもらえるまでしっかり説明するようにしてください。

まとめ|計画的な進め方がトラブルを防ぐ最大のコツ

大規模修繕工事とは、建物の価値を維持して、安全で快適な暮らしを長く続けるために欠かせない重要な取り組みです。

工事期間も費用も大きくなり関係者も多いため、計画の進め方を誤るとトラブルや追加コストに発展するリスクがあることを理解しておいてください。

成功させるためのポイントは、計画的に透明性をもって協力しながら進めること。

まずは劣化診断で現状を正確に把握して、長期修繕計画と照らし合わせて現実的な資金計画を立てることが出発点となります。

その上で、修繕委員会を中心に中立的な専門家の意見を取り入れながら、業者選定・契約・工事監理までを一貫して行う体制を築くようにしてください。

住民との信頼関係を守るためにも常に情報をオープンにして、合意形成を丁寧に進めることが欠かせません。

誰もが納得して参加できる工事こそが、結果的に品質と満足度の高い仕上がりにつながります。

大規模修繕工事を成功させるにも一度きりのイベントとしてではなく、建物の一生を支える継続的な管理活動と捉えることが重要です。

定期的な見直しと積極的なコミュニケーションを重ねることで、トラブルを未然に防いで安心して暮らせる建物を次世代に引き継ぐことができものだと理解しておきましょう。

大規模修繕工事の進め方や成功のポイント、トラブルに関するよくある質問まとめ。

マンションやビルなどの大規模修繕工事は、建物の資産価値を守り、安全で快適な暮らしを維持するために欠かせないことがわかったと思います。

しかし、工事は費用・期間・調整など多くの要素が関係するため、スムーズに進めて完了させるためには正しい手順と十分な準備が必要です。

情報共有不足や業者選定の不備などによってトラブルが起こりやすい傾向があるので、最後まで気を抜くことはできません。

大規模修繕工事の進め方や成功のポイント、トラブル回避のコツについて、よくある質問形式でわかりやすく解説ていきます。

初めて修繕計画を担当する管理組合やオーナーの方も、この部分を読むことで全体の流れと注意点、疑問点の解決に役立つと思いますよ。

マンションの大規模修繕工事はいつどのタイミングで行うのが適切ですか?

一般的に、大規模修繕工事は築12〜15年を目安に行われます。これは外壁塗装や防水工事、鉄部塗装などの劣化が顕著になる時期であり、放置すると建物の寿命を縮める原因になるためです。ただ建物の構造や立地条件によって最適な時期は異なります。海沿いや寒冷地では劣化が早く進行する傾向があるため、10年程度で初回修繕を検討するケースもあるでしょう。長期修繕計画を基に定期的な劣化診断を行って、最適なタイミングを見極めることが重要です。早すぎても遅すぎても無駄な費用やリスクが生じるため、専門家の助言を受けながら計画を立てるようにしてください。

マンションの大規模修繕工事の費用相場はいくらくらいですか?

大規模修繕工事の費用は、建物の規模や工事内容によって大きく異なりますが、一般的なマンションでは1戸あたり80万〜120万円前後が目安です。主な費用の内訳は、外壁塗装や防水工事、足場設置費用、共用部改修などです。工事項目が増えるほどコストは上がるため、優先順位を明確にして予算を組むことが大切です。修繕積立金だけでは足りない場合、一時徴収や金融機関からの借入を検討することもあります。無理のない範囲で長期的な資金計画を立て、見積もりは複数業者から取得して費用の妥当性を確認することがトラブル防止に役立つでしょう。

マンションの大規模修繕工事で起こりやすいトラブルにはどんなものがありますか?

大規模修繕工事でよくあるトラブルには、費用の増加、工期の遅延、住民間の意見対立、施工ミスや品質不良などがあります。特に情報共有不足や意思決定の遅れが原因で不信感が生まれるケースが多く見られます。契約内容が曖昧なまま進めてしまうと、追加費用や責任の所在をめぐって問題が発生することも。これらを防ぐためにも、修繕委員会を設置して透明性のある意思決定を行うこと、第三者コンサルタントを活用して中立的な立場から監理してもらうことが効果的です。工事中は定期的に報告会を開いて、住民との信頼関係を保つことがトラブル回避に役立ちます。

大規模修繕工事で信頼できる業者を選ぶポイントや選び方の基準は?

業者選定では、価格の安さだけでなく、実績と信頼性を重視することが大切です。特にチェックすべき項目は、①過去の施工実績、②同規模・同用途の建物経験、③保証内容とアフターサービス、④担当者の対応力、⑤見積書の透明性などです。複数業者から相見積もりを取って、仕様や費用の差を比較することで、適正価格かどうかを判断することができます。入札方式を採用する場合は、専門家やコンサルタントを交えて公平な評価を行うことが望ましいでしょう。契約前には施工計画書を確認して、工期や安全管理の体制が明確になっているかを必ず確認するようにしてください。

大規模修繕工事に関するトラブルを防ぐために管理組合が意識すべきことは?

トラブルを防ぐためには、管理組合が主導的に透明性を持って情報を共有する姿勢が必要です。修繕委員会やコンサルタントと連携しながら、意思決定の過程を記録・公開して、住民からの意見も取り入れます。工事中は定期的に進捗報告会を開き、疑問や不安を早期に解消することがポイントです。また契約内容や工事範囲を曖昧にせず、全員が理解できる言葉で説明することも重要なポイントでしょう。住民全体の合意形成を意識した運営こそ、長期的に信頼される修繕体制を築くために必要なポイントだということを忘れないでください。

大規模修繕工事を成功させる最も大切なポイントは何ですか?

成功の最大の鍵は、計画的に進めることと関係者全員が協力することです。建物の状態を正確に診断した上で現実的な資金計画を立てて、透明性のある意思決定を行うことが基本です。さらに業者任せにせずに管理組合が主導して、住民全員が工事の目的と必要性を理解することが重要なポイントとなるでしょう。工事は一度きりのイベントではなく、建物の一生を支えるプロセスです。信頼できる専門家や業者と連携して、丁寧なコミュニケーションを続けることで、品質・コスト・満足度のすべてを向上させることができるでしょう。

大規模修繕工事の計画段階でやっておくべきことには何がありますか?

計画段階で最も重要なのは、現状把握と情報整理です。まず専門業者に依頼して劣化診断を実施して、外壁・防水・鉄部・設備などの状態をデータ化します。次に長期修繕計画書と積立金の残高を確認して、修繕に必要な予算と時期を検討します。この時点で修繕委員会を立ち上げた上で、住民や理事会との連携体制を構築しておくことが理想です。過去の修繕履歴や見積資料も整理して、次の段階で業者選定をスムーズに進められるよう準備しておきます。計画段階での情報不足は、後のコスト増やトラブルの原因になるため、早期に準備を開始して状況を整えておくことが非常に大切です。

大規模修繕工事を円滑に進めるための住民説明会のポイントは?

住民説明会は、工事の目的や内容を正しく理解してもらうための大切な場です。開催のタイミングは、契約前と着工前の2回以上が理想です。説明会では、工事範囲、期間、騒音・通行制限、費用負担の仕組みなどをわかりやすく説明してください。質疑応答の時間を十分に取ることで、住民の不安や疑問を解消することが重要です。出席できない住民には資料や録画を共有して、全員が情報を得られるよう配慮しておきましょう。説明会を丁寧に行うことで理解と協力を得やすくなり、後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

大規模修繕工事での契約書にはどんな点を確認すべきですか?

契約書は大規模修繕工事で発生するトラブルを防ぐ最も重要な書類です。必ず確認すべき項目は、①契約金額と支払時期、②工期と工程表、③保証期間と範囲、④追加工事の条件、⑤瑕疵対応の手順、⑥中途解約時の扱いです。これらを曖昧にしたまま署名すると、後で責任の所在が不明確になり、費用負担や補修対応で揉めるリスクがあります。特に施工業者側に有利な条項が含まれていないかを第三者の専門家に確認してもらうと安心です。契約前に十分な時間をかけて内容を精査して、双方が納得したうえで締結するようにしてください。

大規模修繕工事のアフターサービスや保証はどのように確認すべきですか?

大規模修繕工事では、施工後のアフターサービスがとても重要なポイントです。一般的に保証期間は外壁塗装で5年、防水工事で10年が目安ですが、契約内容によって異なります。契約時に保証書が発行されるかを確認して、保証対象・範囲・期間が明記されているのかを確認することが大切です。竣工から1年後に定期点検が実施されるケースが多く、その際に不具合があれば無償で修繕してもらえますので、事前に大まかな確認をしておくのもおすすめです。施工後のトラブルを防止するためにも、アフター対応の連絡窓口や体制を明確にしておくことがポイントです。

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この記事を書いた人

外壁修繕・防水工事の職人のち起業、リフォーム会社を経営 |外壁修繕の会社で外壁の劣化調査や修繕、防水の技術や知識を学び独立して起業➡︎個人事業として開業し、10年後の2023年9月に法人設立➡︎業界によく見られる多重層下請け関係による発注者への不利益や末端業者からの搾取する構造を変革し、皆がフェアであるようにという思いを込めて、事業へ注力しています。

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