外壁タイルの浮きによる危険性は落下事故につながるというものだけではありません。
ただ落下事故が発生すると物的損害だけではなく、人的被害にも及ぶ可能性があるので、早めの対策が必要だということは間違いないといえます。
- 賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きが発生する原因にはどのようなものがあるのかについて。
- 賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きを放置することでどのような危険性があるのかについて。
- 外壁タイルの浮きが原因で発生した事故の法的責任と管理責任にはどのようなものがあるのかについて。
- 外壁タイルの浮きを防ぐための対策として何をするのがおすすめなのかについて。
- 外壁タイルの浮きの危険性や法的責任に関するよくある質問まとめ。
外壁タイルの浮きを放置することは落下事故が発生するリスクが高まり、万が一の際に物件の管理者責任も厳しく問われる可能性があること。
危険性やリスクを十分に理解したうえで適切な対策を講じておく必要があります。
賃貸マンションなどの外壁タイルによる事故を避けるためにも、適切な点検や定期的なメンテナンスを行うようにしてください。
賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きが発生する原因にはどのようなものがあるのか?
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外壁タイルの浮きとは、タイルと下地モルタルの間に隙間ができて接着力が低下している状態のこと。
賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きが発生すると、タイルが建物の外壁から離れて最終的には剥落するリスクがあります。
具体的にどのような理由や原因で外壁タイルに浮きが発生するのか、下記内容について紹介しますので参考にしてください。
- 経年劣化
- 施工不良
- 気候の影響
- 建物の動き
経年劣化による外壁タイルの浮きとは?
長期間の風雨や紫外線の影響によって接着モルタルが劣化することで接着力が低下し、建物の振動や地震の影響を受けるとタイルと下地の間に隙間ができ浮きが発生しやすくなる。
施工不良による外壁タイルの浮きとは?
施工時に接着モルタルが適切に塗布されていない場合、初期段階から浮きが発生しやすい傾向があったり、モルタルの乾燥が不十分だったり適切な下地処理が行われていない場合もタイルの浮きの原因になる。
気候の影響による外壁タイルの浮きとは?
寒冷地では、冬季の気温変化によって水分が凍結して膨張することでタイルを押し出すことで浮きが発生しやすい傾向がある。
建物の動きによる外壁タイルの浮きとは?
地震や強風による揺れ、温度変化による膨張や収縮などが影響してタイルが浮く原因になることがある。
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賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きを放置することでどのような危険性があるのか?
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外壁タイルの浮きを放置することで最も注意しなければならないのが落下事故です。
しかし外壁タイルの浮きを放置することをきっかけに起こるリスクは落下事故以外にもあり、
- 落下事故(人身・物的被害)
- 建物の耐久性の低下
- 修繕コストや補修コストの増加
- 美観の低下や資産価値の下落
- 居住者の安全や快適性への悪影響
物件の管理性人者は少なくとも上記についても理解しておくことが必要になります。
賃貸マンションの外壁タイルの浮きを放置することで発生する様々なリスクについて簡単に説明しますので、安易な気持ちで放置しないようにしてください。
外壁タイルの浮きを放置することで発生する落下事故(人身・物的被害)のリスクは?
外壁タイルの浮きを放置することでタイルが剥落して、下を歩く歩行者や停車中の車両などに直撃する可能性があります。
特に高層ビルやマンションでは、タイルが高所から落下することで落下速度が増加して衝撃力が強くなることも。
人に当たった場合は頭部外傷や骨折などの重大な事故につながる可能性があり、最悪の場合は死亡事故が起こることも考えられます。
実際に過去の事例では、タイルが落下して通行人が負傷したケースや車両のフロントガラスが破損した事例も報告されています。
こうした事故が発生した場合、建物の所有者や管理組合は民事責任を問われる可能性があり、損害賠償請求を受けることになります。
さらに自治体から建築基準法に基づく是正命令を受けることがあり、対応しない場合は行政処分や罰則が科せられることも。
外壁タイルの浮きが確認された場合は、早めに点検と補修を行うことが安全管理の観点からも重要なポイントになります。
外壁タイルの浮きを放置することで発生する建物の耐久性の低下のリスクは?
外壁タイルの浮きを放置することは建物の耐久性にも大きな影響を及ぼす可能性があることだと理解しておいてください。
浮いたタイルの隙間から雨水が浸入することで、下地のモルタルやコンクリートが徐々に劣化して剥離が進行します。
特に鉄筋コンクリート造の建物では内部に浸透した水分が鉄筋を腐食させる原因となり、鉄筋が錆びることで膨張してさらにコンクリートがひび割れたり剥がれたりする悪循環のきっかけになることも。
このような状態が続くことで最終的に外壁全体の強度が低下して、大規模な改修が必要になることもあります。
冬季には寒冷地特有の凍害と呼ばれる現象が発生することがあるので注意が必要です。
凍害とは、隙間に入った水分が凍結と膨張を繰り返すことで、外壁材が徐々に破壊されていく現象のことで建物全体の寿命を縮める原因となります。
建物の耐久性を維持するためにも長期的なメンテナンスコストを抑えるためにも、外壁タイルの浮きを発見した場合は、早期に補修することが重要なポイントになります。
外壁タイルの浮きを放置することで発生する修繕コストや補修コストの増加のリスクは?
外壁タイルの浮きを放置することで修繕にかかるコストが大幅に増加する可能性があります。
タイルの浮きが発生した初期段階であれば、エポキシ樹脂注入工法などの安価コストでできる補修方法で対応できますが、時間が経つことで浮きの範囲が拡大して部分的な補修では追いつかなくなるでしょう。
最終的にタイルの全面張り替えが必要になるなど、補修費用が数倍に膨れ上がることも。
さらにタイルの浮きを放置することで下地の劣化が進行すると、タイルだけでなく下地モルタルや鉄筋の補修も必要になり、工事の規模が大きくなる傾向があります。
高層建築の場合は足場の設置が必要になり、その費用が高額になるなどデメリットしかありません。
早期の点検と部分補修を行うことで、最小限のコストで修繕を済ませることができるので、建物の管理者は定期的な点検とそれを踏まえた臨機応変なメンテナンスを行うことが推奨されます。
外壁タイルの浮きを放置することで発生する美観の低下や資産価値の下落のリスクは?
外壁タイルの浮きを放置することで剥落した箇所が目立つようになり、建物全体の美観が損なわれます。
マンションやオフィスビルなどの賃貸物件では、外観の印象が物件価値に直結するため、入居者の満足度低下や新規契約の減少につながる可能性も。
外壁にひび割れや変色、剥落部分があることで建物全体が老朽化している印象を与えることもあり、長期的に考えても資産価値の低下の原因になるでしょう。
不動産市場では、見た目がきれいでメンテナンスが行き届いている物件の方が高く評価される傾向があり、外壁タイルの補修を怠ることで将来的な売却価格が下がるリスクが高まります。
適切な補修を随時行っておくことで、資産価値を維持して長期的な収益性を確保することができるため、物件の管理者やオーナーは外壁の状態を定期的にチェックして必要な対策を行うようにしてください。
外壁タイルの浮きを放置することで発生する居住者の安全や快適性への悪影響のリスクは?
外壁タイルの浮きを放置することは、居住者の安全や快適性にも悪影響を及ぼします。
まず外壁タイルが剥落する危険がある建物に住んでいることで、心理的なストレスが発生して安全性に対する不安が高まります。
タイルの浮きをきっかけにして雨水が建物内部に浸入することで、室内の湿度が上昇してカビが発生リスクが高まる可能性も。
カビはアレルギーや呼吸器疾患の原因となることがあり、特に小さな子供や高齢者がいる家庭では健康被害のリスクが大きくなるでしょう。
大規模な外壁補修を行う場合、工事期間中に騒音や振動が発生して日常生活に支障をきたすこともあります。
エアコンの室外機を移動しなければならないケースや窓の開閉が制限されることもあり、快適な居住環境が損なわれることも理解しておいてください。
こうした問題を未然に防ぐためにも、定期的に外壁タイルの状態を確認して、随時適切な補修を行うことが重要なことです。
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外壁タイルの浮きが原因で発生した事故の法的責任と管理責任にはどのようなものがあるのか?
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賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きが原因で発生する事故には、人身事故と物的損害があります。
管理している物件の外壁タイルが剥落して通行人や車両に被害を与えた場合、建物の所有者や管理者は法的な責任を問われることも。
具体的にどのような責任を問われる可能性があるのか法的側面も踏まえて説明しますので、しっかり確認しておいてください。
外壁タイルの浮きによる事故の法的責任とは?
外壁タイルの剥落事故が発生した場合、建物の所有者・管理者・施工業者の責任が問われることがあります。
法的責任には、民事責任・刑事責任・行政責任の3つが考えられますので、それぞれどのようなことなのか紹介すると、
民事責任(損害賠償責任)とは?
民事責任とは、被害者が損害を被った場合にその損害を賠償する責任のことを指します。
外壁タイルの浮きが原因で事故が発生した場合、以下の法律に基づく損害賠償責任が生じる可能性があります。
- 民法717条(工作物責任)
- 民法709条(不法行為責任)
- 損害賠償の範囲
民法717条(工作物責任)とは?
建物の外壁タイルは工作物に該当しますので、剥落事故が発生した場合は土地の工作物の占有者および所有者が損害賠償責任を負うことになります。刑法211条(業務上過失致死傷罪)とは?
責任の対象となる人物や範囲は?
- 占有者(管理会社・マンション管理組合など)
- 適切な維持管理を行っていない場合に、第一次的に責任を負う。
- 所有者(建物オーナー・分譲マンションの管理組合)
- 占有者が管理に必要な注意を払っていた場合でも、所有者には無過失責任(管理に過失がなくても責任を負う)が課せられる。
民法709条(不法行為責任)とは?
施工不良やメンテナンス不備によりタイルが剥落し事故が発生した場合、不法行為責任が問われることがあります。
民法709条(不法行為責任)で責任の対象となる人物や範囲は?
- 施工業者(工事の欠陥や瑕疵が原因でタイルが剥落した場合)
- 建物管理者(点検や補修を怠った場合)
民法709条(不法行為責任)の損害賠償の範囲は?
- 被害者が負傷した場合:治療費・慰謝料・休業損害など
- 物的損害:車両や建物の修理費用
- 死亡事故の場合:逸失利益(被害者が将来得られたはずの収入)や遺族の慰謝料
民法709条(不法行為責任)が適用された過去の事例は?
- 事例1:高層マンションの外壁タイルが剥落して歩行者が負傷。→管理組合と建物所有者が被害者に治療費・慰謝料として300万円を支払うという判決。
- 事例2:外壁タイルが駐車中の車両に落下して修理費用100万円が発生。→管理会社が車両所有者に賠償。
刑事責任(業務上過失致死傷罪)とは?
外壁タイルの剥落により死亡事故や重大な人身事故が発生した場合、管理者や所有者、施工業者に刑事責任が問われることがあります。
刑法211条(業務上過失致死傷罪)とは?
外壁タイルの安全管理を怠った結果として落下事故が発生した際に被害者が負傷または死亡した場合、業務上過失致死傷罪が適用される可能性があります。
刑法211条(業務上過失致死傷罪)の罰則は?
- 業務上過失致死傷罪:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 重過失致死傷罪(特に重大な過失がある場合):刑罰が重くなる可能性あり。
刑法211条(業務上過失致死傷罪)が適用された過去の事例は?
- 事例1:管理会社が適切な点検・補修を怠り、外壁タイルが落下し死亡事故が発生。→管理会社の責任者が業務上過失致死罪で起訴。
行政責任(建築基準法違反)とは?
自治体が定める建築基準法に基づき、建物の安全管理義務が課されています。
建築基準法 第8条(建物の維持保全義務)とは?
建物の所有者・管理者は、建築物の安全を維持するために適切な点検・修繕を行う義務がある。
建築基準法 第8条(建物の維持保全義務)の違反時の措置は?
- 指導・勧告:自治体が是正命令を出して、それに対する対応が求められる。
- 命令違反:罰則(罰金や建物使用禁止措置)が科される可能性あり。
建築基準法 第8条(建物の維持保全義務)が適用された過去の事例は?
- 事例1:自治体の定期点検で外壁タイルの大規模な浮きが発覚して管理組合が改善命令を受ける。→違反した場合、建築基準法違反として罰金が科される可能性がある。
外壁タイルの浮きによる事故の管理責任とは?
外壁タイルの浮きを原因とした事故が発生した場合、管理責任を問われることがあります。
管理責任には、
- 管理会社・管理組合の責任
- 施工業者の責任
上記2種類の管理責任がありますので、それぞれどのような責任を負っていうのかについても簡単に説明しておきます。
管理会社・管理組合の責任とは?
- 定期的な外壁点検を実施して浮きや剥落の兆候を早期に発見すること。
- 必要に応じて補修工事を行って剥落のリスクを未然に防ぐこと。
- 住民やテナントに対して適切な情報提供を行うこと。
施工業者の責任とは?
- 外壁タイルの施工時に適切な接着や仕上げを行うこと。
- 引き渡し後の不具合が発生した場合は保証期間内であれば適切な対応を行うこと。
- 施工ミスが原因で剥落事故が発生した場合は責任を負う可能性がある。
外壁タイルの浮きが原因で事故が発生した場合、建物の所有者や管理会社、施工業者は法的責任を負わなければならない可能性があります。
民事責任(損害賠償)・刑事責任(業務上過失致死傷罪)・行政責任(建築基準法違反)の3つの観点から責任が問われることになるので、外壁タイルの落下事故を防ぐことが重要です。
建物の安全性を確保して法的リスクを回避するためにも、専門業者による診断と早期のメンテナンスを行うことを普段から意識して物件の管理を行ってください。
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外壁タイルの浮きを防ぐための対策として何をするのがおすすめなのか?
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賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きは、建物の安全性や耐久性にも大きな影響を及ぼす可能性がある問題だということがわかったと思います。
外壁タイルの浮きを放置することで最終的にはタイルの剥落が起こりり人身事故や物的被害を引き起こすリスクが高まるということ。
賃貸物件などで外壁タイルの落下による様々なリスクを回避するためにも適切な対策を講じることが重要なので、具体的な対策について下記項目ごとに説明していきます。
- 定期的な点検と診断を実施すること。
- 適切な施工と補修を行うこと。
- 外壁の防水対策を強化すること。
- 建物の揺れや温度変化に対する対策をすること。
定期的な点検と診断を実施することとは?
外壁タイルの浮きを防ぐための最も重要な対策が定期的な点検と診断を実施することです。
点検を行うことで浮きの初期段階で異常を発見することができ、早期に補修を行うことが可能になります。
推奨される点検頻度は?
- 築10年以内の建物:大きな異常は発生しにくいため、5年に1回程度の点検が推奨されます。
- 築10年以上の建物:劣化が進行する可能性があるため、3年に1回の点検を実施します。
- 築20年以上の建物:外壁の劣化が顕著になる時期であるため、1年に1回の点検が理想的です。
外壁タイル部分の点検方法は?
- 打診調査(タイルの浮きを確認する):ハンマーや専用器具で外壁タイルを叩いて音の違いで浮きを判別する検査方法のこと。浮きがあると鈍い音がするために部分的な異常を検出できる。
- 赤外線サーモグラフィ調査(非接触で異常を検知):赤外線カメラを使用して温度変化を分析することで、目視ではわからない浮きや剥離を検出できる検査方法のこと。大規模な建物にも適用可能で非破壊検査ができる。
- 目視調査(ひび割れやタイルの剥がれを確認):タイル表面の異常や目地の劣化をチェックして補修が必要な箇所を特定できる。
適切な施工と補修を行うこととは?
点検をした結果、外壁タイルに浮きが発生している場合は適切な補修を行うことが重要です。
浮きの程度に応じた補修方法を選択することで、再発を防いだり建物の耐久性を維持することができます。
軽度の浮き(部分補修が可能な場合)に対する補修方法は?
- エポキシ樹脂注入工法:タイルに小さな穴を開け、エポキシ樹脂を注入して内部の接着力を回復する補修方法で、費用が比較的安価で迅速に補修できる。
- アンカーピンニング工法:タイルの内部にステンレス製のピンを挿入して強度を補強する補修方法で、浮きが広範囲に及ぶ場合に有効的だと言われています。
重度の浮き(広範囲の補修が必要な場合)に対する補修方法は?
- タイルの部分張り替え:浮きやひび割れが進行している場合、該当するタイルを剥がして新しいタイルを接着する。
- タイル全面張り替え:建物全体のタイル接着力が低下している場合は、タイルをすべて撤去して新しく張り直す。費用は高額になるが長期的な耐久性の向上が期待できる。
外壁の防水対策を強化することとは?
外壁タイルの浮きの大きな原因のひとつが雨水の浸入です。
防水処理を適切に行うことで下地モルタルの劣化を防いて、タイルの浮きを抑えることができます。
目地の定期的な補修とは?
タイルの目地部分が劣化することでそこから雨水が浸入してモルタルの接着力が低下しますので、5~10年ごとに目地を補修して防水性能を維持することが重要です。
防水塗料の塗布とは?
タイルの表面に防水性のある塗料を塗布することで浸水を防ぐ事ができるので、透明タイプの防水塗料を使用すれば、外観を損なわずに保護することができる。
建物の揺れや温度変化に対する対策をすることとは?
外壁タイルの浮きは、地震や建物の膨張・収縮によっても発生しますので、これを防ぐために構造面での対策も重要なポイントになります。
伸縮目地の設置とは?
建物の膨張・収縮を吸収するために、適切な間隔で伸縮目地を設置します。
伸縮目地を設けることで温度変化によるタイルの浮きを軽減することができます。
地震対策とは?
日本は地震が多いため、耐震補強工事を行って建物の揺れによる外壁のダメージを軽減します。
耐震補強をすることで、外壁のクラック(ひび割れ)や浮きを最小限に抑えることができるようになります。
上記に合わせて定期的なメンテナンス計画を立て、最低でも10~15年ごとに大規模修繕工事を実施するようにしてください。
物件の管理者やオーナーには長期的な視点を持って計画的な維持管理対策を実施することが求められます。
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外壁タイルの浮きの危険性や法的責任に関するよくある質問まとめ。
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賃貸マンションも含めて外壁タイルの浮きを放置することは落下事故による被害だけではなく、様々な影響が出る可能性があることがわかったと思います。
しかしどのような方法で外壁タイルの浮き対策を行う必要があるのか、物件管理者やオーナーはどこまで責任を追わなければならないのかについて理解が不十分な人もいるかもしれません。
そこでここでは外壁タイルの浮きの危険性や法的責任に関するよくある質問を10個紹介しますので、定期点検やメンテナンスの重要性について理解する際の参考にしてください。
外壁タイルの浮きが原因で事故が発生した場合、法的責任は誰が負わなければならないのか?
外壁タイルの浮きが原因で事故が発生した場合、民法717条(工作物責任)では、建物の所有者がタイルの剥落事故による損害賠償責任を負うことが定められているので、建物の所有者や管理会社、施工業者が法的責任を負う可能性があります。管理会社やマンション管理組合が適切な維持管理を行っていなかった場合は、占有者責任として賠償責任が発生する可能性があります。施工不良が原因でタイルの剥落が発生した場合は、施工業者に責任が問われることもあります。さらに落下事故で人が負傷した場合、管理者や所有者が業務上過失致死傷罪に問われる可能性があり、刑事責任を負わなければならない可能性もあります。
外壁タイルの浮きによって発生した事故に対する損害賠償額はどのくらいの金額になる可能性があるのか?
外壁タイルの浮きが原因で人身事故や物的損害が発生した場合、損害賠償額は被害の程度によって大きく異なります。歩行者にタイルが落下してケガを負わせた場合、治療費や慰謝料、休業損害を含めて数百万円規模の賠償が発生することがあり、死亡事故が発生した場合は逸失利益や慰謝料を含めて数千万円以上の賠償責任が生じる可能性も否定できません。車両や建物に被害を与えた場合も同様で修理費用や営業損害が発生して、高額な賠償が求められるケースがあります。こうしたリスクを避けるためにも、外壁タイルの定期点検と適切な補修が不可欠になります。
外壁タイルの浮きを早期に発見するために有効的な方法は何がありますか?
外壁タイルの浮きを早期に発見するためには、専門業者による定期的な点検を行うことが最も重要です。打診検査では専用のハンマーでタイルを叩いて浮きがある部分は鈍い音がすることで異常を発見できます。赤外線サーモグラフィ調査を利用すると、温度変化を分析して目視ではわからない浮きを検出できます。外壁のひび割れや目地の劣化を定期的にチェックすることも早期の異常発見につながります。築10年以上の建物は3~5年に一度、築20年以上の建物は1~3年に一度は点検を行うことが推奨されています。
外壁タイルの浮きが進行した場合の補修費用はどのくらい高額になりますか?
外壁タイルの浮きを初期段階で補修する場合、エポキシ樹脂注入工法では1㎡あたり5,000~10,000円程度で対応可能ですが、浮きを放置して全面張り替えが必要になった場合は1㎡あたり15,000~30,000円以上かかることがあります。50㎡の補修ならば25万~50万円、全面張り替えなら100万~300万円の費用がかかることもあり補修費用が大きく異なります。定期的な点検と早期に補修を行うことが最終的なコストを抑える最善の方法となります。
外壁タイルの浮きを放置するとどれくらいの期間で剥落する可能性がありますか?
外壁タイルの浮きが発生してから剥落するまでの期間は、気象条件や建物の状態によって異なりますが、早ければ数ヶ月以内に剥落するケースがあります。地震や台風などの自然災害が発生することで浮きが進行して、タイルが突然落下する可能性が高まります。浮きを発見した時点で適切な補修を行わないと、下地モルタルの劣化が進んでさらに多くのタイルが剥落するリスクも。特に築20年以上の建物では、経年劣化により接着モルタルの耐久性が低下しているため、定期的な点検と迅速な補修が不可欠だと理解しておきましょう。
管理している物件で外壁タイルの剥落事故が発生した場合、どのように対応すればよいですか?
管理物件で外壁タイルの剥落事故が発生した場合、まずは被害状況を確認して負傷者がいる場合はすぐに救急対応を行います。その後、落下したタイルや被害物の写真を撮影して事故発生の記録を残します。専門業者に依頼して外壁の点検を行って剥落の原因を特定してください。また今後の事故を防ぐためにも速やかに補修工事を実施する必要があります。管理組合やオーナーは、被害者への対応や損害賠償の準備も考慮して法律専門家と相談しながら適切な手続きを進めることが重要になります。
賃貸マンションなどで外壁タイルの浮きが発生しやすい建物にはどのような特徴がありますか?
外壁タイルの浮きが発生しやすい建物には、施工後20年以上経過した建物、施工不良が疑われる建物、寒冷地や海沿いなど厳しい気象条件下にある建物などが挙げられます。築年数が経過することで接着モルタルの劣化が進んで外壁タイルの浮きが発生しやすくなります。寒冷地では冬場の凍害によって接着力が低下しやすいですし、海沿いでは塩害による劣化が進行しやすい傾向があります。施工不良がある場合は、タイルの接着面積が不足していることが多く浮きや剥落のリスクが高まります。
賃貸物件で外壁タイルの浮きを防ぐために管理会社ができることは何がありますか?
賃貸物件の管理会社は、定期的な点検スケジュールを設定して建物の状態を把握することが重要です。3~5年ごとの打診検査や赤外線調査を行って浮きを早期発見できるように努めます。修繕計画を適切に立案して必要に応じて早めに補修工事を実施することが推奨されます。管理組合との連携を強化して建物の修繕積立金を適切に運用することで、大規模修繕時の負担を軽減することも重要な役割のひとつになります。
外壁タイルの浮きを補修する場合、どれくらいの期間が必要になりますか?
外壁タイルの浮きを補修するための期間は、浮きの範囲や補修方法によって異なります。エポキシ樹脂注入工法での部分補修の場合、1週間程度で完了することが多いですが、アンカーピンニング工法や部分張り替えを伴う補修では1ヶ月以上かかることがあります。タイルの全面張り替えが必要な場合は建物の規模にもよりますが、数ヶ月にわたる大規模な工事となるのが一般的です。事前に補修のスケジュールを管理会社や施工業者と調整して居住者への影響を最小限に抑えることが重要です。
賃貸マンションなどの外壁タイルの浮きを補修する際には、どのような業者に依頼すればよいですか?
賃貸マンションなどの外壁タイルの補修は、専門的な技術が必要なために経験豊富な外壁補修業者に依頼するのが望ましいと言われています。施工実績や過去の補修事例を確認して複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格と施工内容を比較してください。定期点検から補修までを一貫して行う業者を選ぶことで無駄なコストを削減することができ、工事のスムーズな進行が可能になります。
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